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おそらく他の仲間の影響だろう。彼らはフィールドを使った練習は初日一回しかしていない。だが修練場での練習はほぼ毎日していたようだ。訓練の合間に、刺激されたのだろう。
「おっ、レイバンの奴勝ち残ってるな!」
「グリフィス」
大股で近づいてくるグリフィスが、明日のトーナメント表を見ながら楽しそうに言う。そしてやっぱりファウストの側に来て、試合結果を見て口笛を吹いた。
「なんだあいつ、楽しんでるな」
「レイバンはお前の隊だったな」
「はい。色々問題ある奴ですが、一番面白いんで気に入ってます」
手元にあったレイバンの評価書を見たファウストは、だがそれほどの評価をされていない事に首を傾げる。彼の評価はBマイナスだ。
「成績は悪いのか?」
「素行が少し。悪戯が過ぎるのと、単独行動、あとは遅刻。まぁ、相手や場合を選んでるので、ちょっと説教して終わらせてますがね。それと感情の起伏があって、嫌いな相手は徹底的に嫌いなようです」
「なるほど」
どっかで聞いたような内容だと、ファウストは苦笑した。
「ただ、間違いなくこいつは強いんですよ。動きが予測できないのと、手数が多いのと。型にはめずに好きにさせると途端に動きがトリッキーで。あっ、怪我人とか大丈夫ですか?」
「あぁ、誰も怪我はしていないし、させていない。どうやら加減というのを覚えたようだぞ」
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