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「ですね。でも、だからこそぶつかりそうな時もありますよ」
なんだか妙だ、胸の奥がザワザワする。こいつの自立を願ったはずだし、仲間や友人ができる事を賛同しているはずだ。なのに、何かが引っかかっている。
「ファウスト様、俺が頑張ったらご褒美くださいよ」
「ご褒美?」
自分の考えに引き込まれて話を聞いていなかったファウストは、突然の言葉に目を丸くする。ランバートは実に楽しそうな顔で、不敵に笑っていた。
「明日の試合、俺たちのチームが一番になったらどこか行きませんか?」
「大きく出たな。残ってる奴らは、どこも強いぞ」
八チーム残っているが、それはどこも強い。こいつらだって簡単じゃないはずだ。
それでもランバートの笑みは揺らがない。確かな自信に満ちた瞳だ。
「強いのは分かっています。簡単じゃないのも。それに、俺一人の力ではこのゲームは勝てない事も。でも、だからこそ一位は価値がありますよ」
ファウストは少し考えて、静かに笑った。そして、この話に頷いていた。
「じゃあ、明日はしっかりやらないと。そういうことで、寝ますね」
「あぁ、しっかり休め」
遠ざかって行く背中を見て、ファウストは苦笑する。
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