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★トレヴァー
トレヴァーは息巻いていた。初めて活躍らしい活躍ができるかもしれない。それを思うと震えるし、怖いけれどやろうと思う。
このチームの中で活躍していないように思っている。一対一でも上手くやれない。誇れるのは足の速さと体力のみ。そうなると、どうしろっていうんだろう。
だからここで、せめて回ってきた役目だけでもきっちりこなしたい。そう思えば震えが止まった。そして、改めて闘志がわいてきた。
「トレヴァー、右から五人来てるよ」
「わかった」
頭上からコナンが声をかけてくれて、俺は右側を睨む。そうすると五人の人影がジリジリと近づいてきていた。
「トレヴァーじゃん。なに、やっぱり見捨てられた?」
目つきの悪い意地悪な笑みを浮かべた奴がニヤニヤ笑う。その隣にも同じような奴がいる。
「そんなんじゃない」
「じゃあ、なに? もしかして、俺たちに挑もうっての?」
軽く構えた奴はフットワークが軽い。そして静かな奴が二人、この状況を静観している。
「軽くもんでやるよ」
「ほら、早く来いって」
挑発されて、トレヴァーは冷や汗をかきながら乾いた笑みを浮かべた。そして回れ右して、猛然と走り出した。
「あっ! 逃げた!」
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