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友人
それから数日後、一年目は全員修練場に集められた。
何が始まるのかは皆分かっている様子だ。多分、先輩などから聞いているのだろう。
ざわざわした雰囲気が消える。皆の前にファウストと五人の師団長が立ったからだ。
「一年間、皆よく頑張ってくれた。今年の一年目は概ね評価も良く、俺も安心している」
ファウストの声が響く。それに聞き入るように皆が真剣な顔をしていた。
「さて、昇級試験の話は各自聞いていると思う。例年であれば武を重んじる内容になるが、今年は少し趣向を変えてみた」
それに、場は僅かに騒がしくなった。不安がる者、緊張する者、楽しそうにする者。
その中でランバートは、なんだか嫌な予感がしていた。
「今年の昇級試験は五人一組の団体戦だ。これより試験内容を説明する」
場が一気にざわざわした。そしてランバートの嫌な予感は的中した。
よりにもよって団体戦。正直同期と接点が薄いランバートは誰と組んでいいのかさえ分からない。しかもランバートは中途入団だ。本当にどうしていいか分からない状態だ。
「今年の試験は団体で行う鬼ごっこのようなものだ」
「鬼ごっこ?」
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