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奇声と共に突進してきた男は、だが素早い。右ストレートを腕で受け、すぐさま飛んできた左もかわした。だがそこに足まで使い始めると忙しい。
驚くべきは目だ。ゼロスの目には男の動きがしっかりと見えている。前もだが、こんなに的確ではなかった。だから驚いている。
鍛錬の賜だ。確実に実力がついている。それに、体力も上がっただろう。そう思うと本当に驚いてしまう。
軽く攻撃に出てみる。左から右へ飛んできた拳を受け、その手を掴んで投げる。男は面白いようにバランスを崩して地面に倒れた。そのまま男の手を後ろに捻り上げたゼロスは悠々とリボンを奪い取る事ができた。
「はなせぇぇぇ!」
「暴れると折れるぞ」
上手く決まっているから、下手に暴れると外れるかもしれない。リボンは奪ったけれど、このまま離したら問答無用に殴りかかってきそうだ。
「うわぁ、みっぐるしー」
「レイバン!」
「ゼロスに負けたんだから、殴りかかっちゃダメだぞ。それしたら、大将に告げ口するからね」
ゼロス以外の二人もしっかり相手のリボンを手にしている。心配はなかったようだ。
「ゼロス、離していいんじゃないか?」
「だが…」
「試合は終わったんだし、それを無視してそいつが攻撃したら違反だ。俺からファウスト様にきっちり報告するさ」
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