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「規定では道具を使用する事はある程度は容認されるものの、相手に大怪我を負わせるような危険行為は禁止になっている。相手チームは反則負け、怪我を負わせた隊員も拘置された」
「その試合って、次に僕たちが戦う相手を決めてたんじゃ…?」
遠慮がちなコナンの言葉に、エリオットは気遣わしげに頷いた。
「どうなりますか?」
「不戦勝だと思う。反則負けしてるチームはもちろん上がれないし、相手のチームも五人中四人が負傷してるから」
なんだかとても、腑に落ちない勝ちが転がり込んだ。そう感じたのはランバートだけじゃない。他の面々も、何か納得していない顔をしていた。
「おーい、ゼロス!」
ランバート達に向かって手を振って近づいてくる青年に、ゼロスは視線を向ける。
少し長いブラウンの髪を揺らした青年は、体格としてはゼロスに負けず劣らない。だが、雰囲気はずっと柔らかい青年だった。
「ボリス!」
「あぁ、良かった。お前を探そうか迷っていたんだ」
駆け寄ってきた青年もまた無事ではなさそうだ。所々ガーゼが当てられている。
「ゼロス、こちらは?」
「あぁ。今運ばれていった奴らと同じチームのボリスだ。第一師団なんだ」
「そちらは名乗らなくてもいいよ。全員有名人だから」
朗らかに笑った青年は穏やかかつ爽やかな、好感の持てる人物だった。軽く握手を交わすと、その場にいた全員が真剣な目をした。
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