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「何があったんだ? お前も怪我をしているが」
「そこの彼が、違反した隊員を押さえ込んだんだよ」
エリオットが補足し、レイバンは不謹慎にも口笛を吹く。知っている人間はこれが彼なりの感嘆の意だと分かるが、そうでなければ怒られるだろう。
この失礼な態度にもボリスは怒らない。困ったようにこめかみの辺りをポリポリ掻いている。
「なんとか押さえ込んだんだけど、逆に相手の腕折っちゃってさ。ちょっと後が怖い」
「正当防衛なので、おとがめはないよ。アシュレーとファウストも分かっている。それより君も後で必ずくるように。軽症だと思うけれど、殴られている事に変わりはないからね」
釘を刺すようにエリオットはピシャリと言い、運ばれていく隊員の後を追っていった。
その場にランバート達とボリスしかいなくなる。そうなると、更に表情は緊張したようだった。
「本当に、何があったんだ? 相手だってこんな無茶をするほど馬鹿じゃないだろ。立場ってものがある」
「それが、少し変だったんだ。異常、とも言えた。だからお前らに言おうと思っていたんだ、気をつけろって」
「異常?」
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