決勝戦

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 リボンはお願いして白にしてもらった。取られたとして一点。でも、簡単に負けるわけにもいかない。ランバートに沢山鍛えてもらったんだから。  ハリーは前に出て、嬉しそうにする。軽快な足取りだ。この人は第四師団の中でも好戦的なほうで、武術も得意だ。 「まぁ、俺としては今の顔の方がいいかな。じゃ、お手合わせ願おうかな」  軽く構えて、おいでと手招きされる。コナンは息を整えて、真っ直ぐにそこに走りこんだ。  小さなコナンは懐に入り込むのは分けない。けれどそれはハリーだって分かっている。当然のようにガードされているのも分かっている。  そこで、コナンはフェイントをかけて左側からハリーの背へと回った。そしてその膝裏を思い切り蹴りつけた。 「!」  流石に驚いたんだろう。瞬間的に膝が落ちたのを見て、コナンは森の中に身を隠して走った。  これでどのくらい時間が稼げるかわからない。けれど今求められているのは、とにかく時間を稼ぐことだ。 「! わぁ!」 「まったく、どこでそんな手の悪い方法を覚えたの?」  突然後ろから手が伸びて首根っこを掴まれると、そのまま持ち上げられた。足をバタバタさせて暴れても敵わない。ひやりとした声が怖い。 「まぁ、おおかたレイバンかランバートだろうね。あの二人は乱戦に強そうだから」 「離して!」     
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