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「ん? あっ、ハリー。どうしたんだ?」
「どうしたもこうしても、お前が邪魔したんだ」
きょとっとした顔をするトビーは、言われて初めて状況を理解したっぽい。しばらくして、とても素直に頭を下げた。
「ごめん、邪魔した」
なんていうんだろう、いたたまれない不思議な沈黙が続いた。
「なんか興ざめ。トビー、どうしてくれるのさ」
「いや、なんていうかさ。つい夢中になって」
「そういうの迷惑って、何度も言っただろ?」
「しかたないだろ、忘れるんだから」
清々しいくらい、素直な人なんだと思う。喉元まで出かかった言葉をコナンは飲み込んだ。その側で、トレヴァーはとにかく溜息をついている。
「こういう奴なんだよ、トビーって」
「うん、なんか分かった。悪い人じゃないでしょ?」
「そうなんだけど、果てしなく面倒っていうか」
トレヴァーもけっこう素直な人だとは思うけれど、流石にこんなに自由な人じゃない。大変だ。
なんとなく誰も動けない。そんな雰囲気を壊すような轟音がする。怯えたようにコナンはそっちを見た。
トビーの更に後ろから、誰かが近づいてくる。黒い髪が一瞬見えた。
「あ!」
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