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言いかけるよりも速く、黒い影はトビーの側を走り去ってコナンの側にくる。その手には赤いリボンが握られていた。
「あっ! 俺のリボン!」
「トビーどけろ! 危ないぞ!」
「トレヴァーとコナンもどけろ!」
怒号が飛び交ってそう広くない場所が騒然とする。コナンは咄嗟に右側に逃げた。同じ方にレイバンがいて、驚いた顔をしている。そしてその目の前に、突然真っ黒い影が差した。
「コナン!」
腕を引かれて明後日の方向に投げられる。その次には、レイバンが殴られて側の木にたたきつけられたのを見た。
「レイバン!」
悲鳴に近い声で駆け寄ったコナンは、あっけなく地に転がったレイバンを見て青い顔をした。こんなふうになるレイバンを今まで見た事がなかったから、驚いたのと怖いのと。
その前に、まるで山みたいな人が立った。
あまりに背が大きくて、体は山のように大きくて、ただ怖い。金の髪が乱雑で、ライオンのたてがみみたいだった。
「ようやく一発殴れたぞ、レイバン」
バキバキとごつい指を鳴らす男は、転がったレイバンを見下す。庇うように前に出たコナンは震えていたけれど、どけるつもりなんてなかった。
「止めなよコナン、怪我するから!」
敵のはずのハリーが咄嗟に言ってくれるけれど、どけない。殴られたって、こんなレイバンを差し出すなんてできない。
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