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決勝戦2
レイバンがドゥーガルドとギリギリの戦いをしている時、ランバートは離れた場所でチェスターからリボンを奪った所だった。
「少しは手加減しろってぇ」
「全力で戦いを挑む! って、指さして宣言したのは誰だよ」
「だって、お前いっつも手加減するからさ。一度くらいまともにやりたかったんだよ」
気のいい同期のふて腐れた声音に、ランバートは苦笑した。
その時、わざとらしいガサガサという音を立てて木から下りてきた人物がいた。白に近い銀髪に緑の瞳の青年だった。
「ここから南に真っ直ぐ行ったところで、レイバンがドゥーガルドと戦っている。早めに間に入らないと、コナンじゃ止められない。レイバンは既に一発貰ってる。大怪我になる前に止めて」
それだけを少し早口に言った青年はまた走り去っていく。それからほんの少し後でトレヴァーが彼を追って現れた。
「ランバート!」
「トレヴァー、レイバンが危ないって本当か!」
「あぁ。なんかでかい、猛獣みたいなのが突っ込んできて。コナンを庇ってレイバンが叩きつけられた」
それを聞いて、ランバートは一気に血が沸騰するような怒気にかられた。突然世界が無音になる。静かに睨んだランバートは、トレヴァーを見た。
「トレヴァーはこのままさっきの奴追ってくれ。俺がそっちを止める」
「気をつけて」
「お互いに」
それだけを言って、ランバートは走った。不思議と方向が分かるように感じる。それは、久しぶりに感じるどうしようもない怒りと焦りの感情だった。
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