決勝戦2

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 体が少しずつ鈍ってる。流石に疲れてきたし、最初に貰った一撃がジワジワきいてる。背中痛いっての。受け身とってもこれって、どんだけ馬鹿力だよ。  正直、あとどのくらい持ちこたえられるか。可能性があるとすれば、持ちこたえているうちにランバートかゼロスがこっちに回ってくれることだけれど、正直ゼロスは難しいだろう。 「ちょこまかと!」  大きく振りかぶった拳が迫る。避けようとして、足がもつれた。こうなればどうしたって食らう。覚悟して、せめて腕でガードをする。  その時、風が吹いたように思えた。いや、吹いたのかもしれない。金の光を放つ、漆黒の風が。 「!」  宙に躍るランバートの足が、しなるゴムのような強靱さでドゥーガルドの首を横合いから薙ぎ払った。遠心力を使って首を打つ斧のようにも見えてしまって、レイバンは背が寒くなった。なんせあの巨体が飛びはしなかったものの、浮いたのだ。  白目をむいて倒れたドゥーガルドは、そのまま動きもしない。その横に立ったランバートの目は、とても近づいて礼を言えるようなものじゃなかった。  見る者を凍てつかせるような冷たく下げずむ青い瞳。笑み一つ浮かべていない麗人は、こんなにも恐怖させるんだ。そしてこの目を見て、レイバンは悟った。     
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