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ランバートは付き合いが良くて話が面白くて、案外人を安心させる部分がある。いい意味で近寄りやすい。
でもそれは、味方だからだ。友好的な相手だからだ。もしも敵対したら、その瞬間向けられる瞳はこれだ。見た瞬間にこちらの負けを悟らされるような、残酷なものなんだと。
「レイバン、無事か?」
レイバンに向けられた瞳からは、もうあの冷たさは消えている。心から友人を案じる気遣わしく、そしてどこか痛みを感じるものだ。
こんなに瞬時に変わるものなんだと、あっけにとられてしまう。
「あぁ、平気」
「怪我は?」
「背中を少し打ち付けただけだ」
そう言うと、ランバートは直ぐに背中へと回る。正直あの顔を見た直後で背後を取られると怖い。信じているけれど、本能ってそういうものとは別次元だから。
「かなり強く打ってる。それに、足も動かないだろ。首にも負担がかかってるみたいだし、医療府に診せてこい」
「それって、棄権するってことだけど? そうなると俺の得点、相手に持ってかれる」
棄権はその時点で相手の得点になる。レイバンが持っているのは五点。相手にそれだけよこすことになる。それはなんか納得できない。
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