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「俺でいいのか? 俺、付き合い悪かっただろ?」
「そんなの今から知り合えばいいだろ? それに、知る楽しみもあるじゃん」
底抜けに明るく毒気がない。そんな彼が側にいるのは、なんだか心地よくもあった。ランバートは笑って、しっかりと彼の手を取った。
「よろしく、トレヴァー」
「おう!」
力強い握手を互いに交わして、二人はニッと笑った。
「さて、後は誰を誘おうかな」
そう言いながらも、トレヴァーは誰かを探している様子だった。そして程なく相手を見つけたようで、ずんずんと進んでいってしまう。
行動にまったく迷いがない。ある意味凄い行動力だ。
「おーい、ゼロス!」
声をかけられた青年は視線をトレヴァーに向けて、困ったように笑った。そうして近づいてきて、苦笑した。
「ゼロス、誰かと組んだか?」
「いや、まだだ。声はかかったんだが、決め手にかけてな」
そう言った青年は、とても逞しくしっかりとした印象を受ける人物だった。
薄い茶の短髪に、同じ色の切れ長の瞳。身長はランバートよりも高くて、体つきはがっちりとしている。
リーダーになれる人物とは、彼のように人を引きつけ、引っ張る魅力があるのだろう。堂々とした立ち居振る舞いが似合う青年だった。
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