決勝戦2

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「全力出したんだ、恥じることはないだろ?」 「楽しかったな!」  二人の言葉を飲み込んで、ランバートは頷いた。楽しかったし、真剣だった。だからこそ、悔しいんだ。どうでもいいことじゃないから、嫌なんだ。そして、こんな感情は初めてだった。 「今年の試験は初の試みだったが、思いのほか充実していたと思う。これまで面識のなかった者との交流や、部隊を超えての交流もあった。そして最後には、こうして皆が真剣に試合を応援し、我が事のように喜べる。昇級試験というのを抜きにしても、大きな意味のある試験だった」  ファウストの言葉に、全員が頷く。その顔の晴れやかな表情を見ると、全てに頷ける。このチームで過ごした時間はとても大きな意味があった。仲間を得たんだ、当然だ。 「正直、今年の試験を観戦にきた二年目以降が羨ましいと俺に不平を言ってきたぞ。こんなに楽しいなら、自分たちもやりたいとな」  笑ったファウストにつられるように、周囲からも楽しげな声が漏れる。  不意に、ファウストが前に上がった両チームを見る。そして、真剣な顔をした。     
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