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心底意外という顔をするゼロスに、ランバートは笑った。こいつもまた、自分の力を理解していないんだ。
「ゼロスが方針を明確に打ち出していなければ、上手くいかなかっただろ」
「そんなものか?」
「あぁ。リーダーとしての才能があるんだと思うよ」
手にしたサンドイッチを放り込むと、案外腹が減っていた事を知った。続けてもう一つつまむと、ゼロスが可笑しそうに笑った。
「ランバートも少し意外だった。お前、案外周囲をとても気にして気を使っているんだな」
「俺が?」
「あぁ。常にバランスを取ろうとしていた。それに、頼る奴を無下にしない。面倒見がいいんだな」
それは少し意外な言葉だ。自分ではそんなに意識していなかったんだけれど。
その時、こちらに向かって歩いてくるファウストの姿が見えた。こちらを見て、困った顔で笑っている。
「お疲れ。いい試合だったな」
「「お疲れ様です」」
全員が頭を下げて一礼をする。それに苦笑したファウストは、ランバートとゼロス、そしてレイバンへと視線を投げた。
「様子の変だった隊員だが、正気に戻った。原因も判明したぞ」
「なんでしたか?」
問いかけると、ファウストは少しだけ輪を縮めるように言う。周囲に聞かれるのを嫌ったんだろう。
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