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「どうやら、集中するのに一人になる癖のある奴だったらしい。ここの管理小屋の裏に、木材を乱雑に積み重ねた場所があるのは知ってるか?」
ここに出入りしているなら誰だって知っている。折れた枝や間伐の為に切った木を適当な大きさにして積み重ねている場所だ。あとで建材にしたり、薪にしたりするのに意外と使う。
「どうやらそこにあった木に、毒キノコが生えていたようだ。オリヴァーとエリオットが確認して、間違いないと言っていた。僅かな衝撃でも胞子を飛ばすもので、その胞子に幻覚を見せる効果があるようだ」
「意外と身近に危険物があるものですね」
ゼロスがなんとも言えない顔で言うが、そんなに意外な事ではない。危険なものは身近にあることもある。綺麗だと思って触れる花、虫、生き物にも毒があることがある。知っているか知らないかの話だ。
「医療府と暗府でそこの木を全て運び出した。後で焼く事になっている」
「ファウスト様、あいつの処分は」
硬い声でゼロスが問う。確か、その隊員もゼロスと同じ第一師団だったはずだ。仲間を心配しているのだろう。
ファウストも複雑そうだ。だが厳しさはない。それにこの人は優しい人だから、そう酷い事にはならないとランバートは安心していられた。
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