祭りのあと

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「まったくお咎め無しとはできないが、大きな罰は考えていない。医療府の診察でも毒キノコによる意識の錯乱と幻覚が原因だと診断できた。怪我をした面々も説明を受けて、あまり大事にしないでほしいと言ってくれた。謹慎などの処分はあるが、厳しくはしない。何よりそんな危険な物が自然発生していた事に気づけて、ホッとした」  確かに早めに気づけてよかった。悪用などされればとんでもない事になるだろう。  ゼロスも安心したようだった。強ばっていた表情が緩んでいく。 「ランバート、お前が蹴り倒した奴もさっき目が覚めたぞ。挨拶にくるそうだ」 「え?」  驚いて問い返すそこに、影が差す。そして次には思い切り腕を掴まれて顔が強ばった。咄嗟にもう一発蹴りそうになって、それを抑えるのに必死だ。  ドゥーガルドと、彼らのチームがそこにいる。今は全員楽しげな笑みを浮かべていて、敵愾心もまったくない。  そしてランバートは獣のような相手に手をつかまれ、ブンブンされている。 「お前強いな! 初めて世界が真っ白になった!」 「いや、そこはそんな興奮して言うような事じゃ…」 「俺は強い奴が好きだ! お前は逃げないし、強い。また改めて手合わせ願いたい」 「ウザいでしょ、この筋肉だるま。うちの大将も手を焼くんだよ」  レイバンがうんざりと言うのに、内心ランバートは頷いた。 「でも俺も、こいつが浮いた所を初めて見たよ。蹴り一つで人間飛ぶんだね」 「ランバート…」  ファウストが怖い顔でこっちを見ているけれど、見なかった事にしよう。     
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