2 破瓜のイタミ

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後藤田様は わたしを買い取った時間ギリギリまで抱き続けた。 ろくに食べることもせず、その代わりお互いを貪り続けたのだ。 その間じゅう何度も野生の力を見てそれを感じた。 逞しく吼え わたしを簡単に持ち上げ 簡単にひっくり返し そして、支配する。 だけど、必ずそこには気遣いがあって 恐ろしいほど嬉しかった。 嬉しいと それは心地よいに変わり そして 死ぬほど気持ちよかった。 セックスは時間をかけてすればするほど気持ちいいのかもしれない。 でも実際はいつでも気持ちの良い繋がりができるものとは限らない。 それに気づくのは、これからだった。 15の小娘は とうとう、女になって 本物の遊女へと上げられた。 わたしは瞬く間に残月姉さんと並ぶ、白金楼のトップ遊女として 見世(みせ)に出るようになった。 それもこれも、後藤田様のおかげだと とても感謝している。 だけど、あの日から 後藤田様は一度もお顔を見せてはいない。 “全部オレのもん”だと言ったあの日から。 一度も。
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