11 最終章

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 当然の抗議に、雅也もムッとして言い返してきた。 「だって、あそこはお化けが出るんだよ!」 「……はぁ?」 「だから、お化けが出んの!翔太から、オレの伝言聞いたんじゃないのか?」 「―――…え?」  思いもよらぬ雅也のセリフに、佐々木は固まった。  たしかに、あの頭の悪そうな金髪少年、翔太がそんな事を言っていた。  だが、それはあくまで、佐々木たちを追い出そうとする方便ではなかったのか? 「まさか――冗談だろう?」  思わず、強張った声をもらした佐々木に、雅也はブンブンと首を振った。 「いや、マジで」  彼はアッサリと答えると、続けて言った。 「あそこの部屋は、絹江っていう名前の、昔の女将が幽霊になって出てくるって有名なんだ。さすがに不気味で、あの部屋でSEXなんてムリだって!」 「…」 「その幽霊が憑いているから、母さんが何度も旧館を潰そうとするその度に、邪魔が入るんだろうなぁ~…アンタらみたいな客が、ひょこっと泊まったりするし?」 「…」 「そうそう、向こうのピカピカの新館は、大手に高値で売却する方針だってさ。その方向で、親父が銀行と話を詰めているって。今度はそれを元手に、この旧館を改築して続けていくって言ってた!跡取りのオレが東京に行っちまうし、もうあんな大規模リゾートホテルは手放すって。最近は、逆に新館(アレ)が首を絞めている状態だったみたいで、さすがの母さんも同意したようだ……昨日の脅しが効いたってのもあるみたいだけど?」  雅也はそう言うと、クルリと踵を返した。  その視線の先には、手を振って近寄ってくる少年がいた。 「せんぱ―――っい♪」 「そこで待ってろ、翔太!今行くっ」  明るいトーンで雅也は声を上げると、最後にチラリと、固まったままの佐々木に視線を投げた。  そして、彼なりに気を利かせたらしい一言を、佐々木へ送る。
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