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混乱
取引先との商談を兼ねた接待を終えた大和は、来栖財閥本社ビルに戻っていた。
誠一郎と凛子とは接待先の料亭で別れ、秘書の村田にも仕事の終了を伝えていた。
誠一郎の下で仕事を始めてから、彼の多忙なスケジュールに驚かされた。
小さな町工場にも出向き、どんなに下っ端である下請け先にも常に丁寧な対応をしている。
来栖財閥という大きなグループのトップであることから、誠一郎が仕事が出来るということは分かっていたつもりだったが、これほどの情熱を持って誠心誠意取り組んでいることを知り、ますます誠一郎に対して尊敬と憧れの念を抱くようになっていた。
そして自分もまた、父となった誠一郎と同じように財閥の従業員から信頼され、頼られる人間になろうと思った。
その為に、大学での経営学を役立たせるため講義を真面目に受け、一日も早く誠一郎の仕事を覚えられるよう彼の下につき、必死で仕事を覚えている。
それは大変ではあったが、今まで特に何の目的も持っていなかった大和にとって、充実した毎日でもあった。
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