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空港からタクシーに乗り、自宅に向かう車中で美姫は声を上げて泣いた。
その背中には、秀一と大和、二人への大きな後悔と罪悪感がのしかかっていた。
秀一に会いに行かなかったことを、彼を救えなかったことを、美姫は一生後悔し続けるだろうと思った。
自分が行かなかったことで、今後秀一はどうなってしまうのかと考えると胸が鋭く刺されたように痛み、ジンジンする。
けれど、秀一の元に行き、彼を島から連れ出したところで、また二人は世間から身を隠し、禁断の関係を続けることになるだけだ。
ようやく逃れられた負のスパイラルに、自らその身を投げ込むことになってしまう。
もう、過ちは繰り返さない。
たとえ、秀一さんのことが忘れられなくても。
彼のことが心配で堪らなくても......
私はもう、彼に関わってはいけないんだ。
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