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遼介の日記
8月16日 曇りのち雨
今日の午後、AG(脳血管造影検査)があり、松田先生の介助には彩矢ちゃんがついていた。
彩矢ちゃんが申し訳なさそうにうつむいて、俺とは目も合わせてくれないことに、寂しさを感じた。
もう気にしていないとは言えないけれど、以前のように明るく接してくれた方がこちらとしては嬉しい。
でも、当分は無理なんだろうな。
松田先生はいつもナースたちを苗字で呼ぶ。
自分では気づいていないのか、親密な関係になったナースは姓でなく、名前で呼ぶようになるのがクセだ。
操作室で松田先生が彩矢ちゃんのことを、親しげに 「あ~や」と呼んで肩に腕をまわした。
動揺し、無言で松田先生の手を払った彩矢ちゃんを見て、なぜ俺と別れなければいけなくなったのかを悟った。
彩矢ちゃん、どうして松田先生……。
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