夢のような日々

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12月19日 雪 仕事が終わり、彩矢ちゃんを迎えに行く頃になって、本降りの雪になった。 寒気が来ているとの予報だから明日までにかなり積もるかもしれない。 今日も6時15分には彩矢ちゃんの家の前に着いた。 今日は雪が降っているせいもあってか、フードの着いた白いコートを着ている。 膝丈のベージュのギャザースカートに、ざっくりと編まれたピンクのニットを着ている。 何を着ても、どんなしぐさも可愛らしく見えてしまう。ひざに置かれた白い手に触れてみたい。 俺の心を見透かしたかのように、彩矢ちゃんが突然、「ホテルに行きたい」などと言うから、焦って「じゃあ、結婚してくれ」などと、バカなことを言ってしまった。 困ってうつむいた彩矢ちゃんに申し訳なくて、「彩矢ちゃんがビックリさせるから仕返ししてやった」 と、笑ってごまかしたけれど、気まずい空気は去ってくれなかった。 やっぱり映画じゃありきたりだよな。 彩矢ちゃんが何をしてあげたら喜んでくれるのが全くわからなくて途方にくれる。 「佐野さんのアパートに行きたい」と言われ、にわかに緊張してきたけれど、俺のことを信頼しきってのことなのだろう。 確かにずっと引きこもっていた人が、人のたくさんいる映画館などには足が向かないと言うのもわかるような気もする。
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