それから一年が過ぎて。

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遼介 4月5日 こんなウンザリな宅配の仕事から、早く撤退しようと考えていた矢先、思わぬ人と再会することになった。 俺の管轄するエリアは、西区の琴似周辺だ。 琴似駅に近いこのマンションへの配達は、いつも荷物が多いのだが、その中に松田彩矢という宛名の物があった。 同姓同名の人かな? それとも彩矢ちゃんが、松田先生と小樽からこっちへ引っ越して来たのだろうか。 期待と不安が入り混じった気持ちが交錯する。 マンション一階の出入り口で部屋番号を押し、宅配業者だと告げる。 「あ、はい。お願いします」 インターホン越しの少しの会話で、彩矢ちゃんの声だと確信した。 セキュリティーの自動ドアが開いたので中に入り、エレベーターで28階まで上がる。 宅配業などやっている俺を見てなんと思うのだろう。Amazonからの荷物を持ちながら、不安が高まる。 緊張の面持ちで、恐る恐る玄関のブザーを押した。 「はーい」と言うインターホンからの返事が聞こえて、ガチャっと玄関ドアが開けられた。 穏やかな笑顔を見せた彩矢ちゃんの顔が、驚きに変わった。 「えっ? さ、佐野さん!」 呆然と俺を見つめている彩矢ちゃんの視線に、耐えきれなくなってうつむいた。 (了) 長い間、お付き合いくださいまして、ありがとうございました。 『六華 snow crystal 3』 連載中です。 引き続き、よろしくお願いします。 なごみ
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