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有紀の日記 2012年 7月
7月8日 晴れ
「有紀! 」
今日はこれから夜勤で、売店で夜食にするクリームパンとスナック菓子を買い、エレベーターに乗ろうとしたところで、佐野さんに呼び止められた。
「あ、佐野さん。この間は平岸までラーメン食べに連れてってくれてありがとう。めっちゃ美味しかったよね~ 」
「うん、また行こうな。……あのさ、……彩矢ちゃんって、その後なんか言ってた?」
言いにくそうに、ちょっと照れながら佐野さんが聞いた。
なんだぁ、その話か。
「えっ、うん。考えとくって言ってたよ。急だったからびっくりしたみたい」
「そうか、そうだよな。ごめん、面倒なこと頼んじゃったな」
「ううん、全然。もっと、もっと頼んで~ なんか奢って~」
「ハハハッ、おまえには食い気しかないのかよ」
佐野さんが落胆したようすを隠すかのように笑った。
「彩矢に今度会った時、聞いておくね」
「いや、別に急がなくていいよ。じゃあ、夜勤、頑張れよ」
「わかった。じゃあね、お疲れ様~」
うわ~ 佐野さん結構、本気なんだ。だよね~ 彩矢は可愛いからなぁ。
勤務割表を見ると、彩矢は今日は代休で、明日が夜勤になってるから、しばらくは会えないな。LINEで聞くのもなんだし、今度の日勤の時でもいいか。
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