9 超直球 (つづき)

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辻上との情事は、今まで未波が体験した中で一番熱いひと時だった。 しかも彼の言動とは真逆に、 辻上は、この上ないほど優しく大事に未波を抱いた。 そして、狭いベッドの中でクッションの上で手枕をして 天井を見つめる彼の肩にこめかみを寄せ、未波は静かに尋ねる。 「ねぇ、レイ」 「ん?」 「どうして学校に通い始めたの?」 いつもの事ながら、未波に他意はなかった。 そして辻上も、隠す理由はなかったらしい。 「元々、それを目指して大学にも入った。 けど俺が20歳の時、親父の会社が潰れたんだ」 そして多額の借金を抱えた父は、家族を守るために離婚。 この事があって、辻上も大学を中退したという。
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