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11 ポトスの呪い
未波のアパートの部屋に着くなり、
どちらからともなく互いの体に腕を絡ませ、唇を重ねた。
そして、いつもは優しいキスを続けながら丁寧に脱がしていく服も、
この日の辻上は、苛立ちすら感じさせるほど
まどろっこしそうに脱がしていく。
しかし未波も、感情が迸った分、強く辻上を求めた。
息が苦しくなるほどの深くて荒々しいキスを繰り返し、
互いの肌を互いの掌がまさぐり合う。
そんなキスの合間に辻上の囁き声が、切羽詰ったように呟いた。
未波――。
彼と出会って、数ヶ月。
初めて彼が口にした、自分の名前。
その感動と喜びで、未波の甘い声が高くなる。
それに呼応するように、辻上も、何度も何度も彼女の名前を囁きながら
未波の肌に愛撫の手を滑らせる。
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