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体だけはでなく、互いの想いが熱を帯びて
まるで、体と一緒に絡まり合うようだった。
だから、どれほど互いを求め合っていたのかが
言葉もないまま、手に取るようにわかる。
そんな感情が激しく絡まり合った荒々しい情事が終わり、
片腕で囲われる彼の胸に頬を寄せて、未波は呟いた。
「レイ、初めて私の名前呼んでくれた」
「初めて? そんな事ないだろ」
そのセリフに、未波は、顔を上げて辻上をちょっぴり睨んだ。
「ああっ、やっぱり自覚なかったんだ」
「けど俺、あの日以来、一度も『アンタ』とは言ってないはずだぞ」
「でもその代わり、『お前』か『なあ』か『おい』ばっかり」
拗ねたような未波を前に、辻上の顔に困惑が浮かんだ。
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