9 超直球 (つづき)

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「もちろん、途中から奨学金をもらって卒業する道もあった。 けど、その翌年には弟が中学を卒業する。 まさか、アイツを中卒にする訳にはいかなかったからな」 元は裕福な家庭環境だったらしく、 母という人も、社会で働いた経験はなかったらしい。 だから、彼が大学を辞めて宅配業社のドライバーとして就職。 そして、家族を養ってきた。 しかし、その弟も5年前に無事に大学を卒業。 折よく、父の借金もほぼ片が付き、 ようやく辻上も自分に投資ができるようになったという。 「けど、その時の俺は貯金ゼロだったし、 働きながらじゃなきゃ、学費も出ねぇ」 しかし、オフィス内勤務になると給料は確実に下がる。 そのため、一年間、貯金をしてから今の学校に通い始めたらしい。
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