11 ポトスの呪い

5/11

33人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「じゃあ、あの時も、何か嫌な事があったから弾いてたの?」 尋ねた未波の頭の上で、ピタッと彼の手が止まった。 それで、少し不思議そうになった彼女の目から逃れるように、 彼の視線が少しだけ外れる。 「まぁ……、色んな意味で煮詰まってたっていうかな」 「勉強のこと?」 それも有ったけどな。 言葉尻を濁すようにして消し、辻上は、少しだけ押し黙る。 そして、憮然としたような口調で付け加える。 「その前の金曜に、お前を送って行っただろ。 その時に、無意識で抱き上げちまって以来、 お前の事が、ずっと頭から離れなくなってた」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加