11 ポトスの呪い

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「今日、泊まっていけるの?」 うん。 相変わらずきれいな箸使いでうどんを平らげていく辻上が、小さく頷いた。 「じゃあ、今夜はナンチャッテじゃなくて、ちゃんとしたお鍋にしようね。 カキを買ってあるから、土手鍋にしようか。それとも、豆乳鍋とかがいい?」 「おま……、未波が好きなほうでいい」 そして、ちょっぴり食べる手を止めて、じっと未波を見つめる。 「時々なら、『お前』って言ってもいいか?」 生真面目に尋ねられ、未波は、思わずクスリと小さく笑った。 「うん。『お前』でも、『おい』でも、『なぁ』でもいいけど、 名前も呼んで欲しい」 うん。 頷いた辻上は、うどんに戻りかけて、上目遣いに未波に視線を戻してニヤリと笑った。 「けど、カキで俺に精つけて、なに企んでんだ?」 バカッ。 未波は、瞬時に顔が赤くなるのを感じつつ、思わず目の前の彼を睨みつける。 そして、逃げるように視線を落としてうどんを口に運ぶ未波の耳に、 フッと柔らかく笑う彼の声が聞こえてきた。
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