33人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
結局この日の午後は、二人で並んで、未波の買い置きの映画を観た。
そして、映画がエンドロールになった時、彼の腕に抱き寄せられ、
その胸に身を寄せる未波は、ふと思った言葉を口にする。
「こういうデートも有りだね」
ああ。
声で頷いた彼を見上げると、小さく見下ろして視線を合わせられた。
それから、彼の視線がゆっくりと正面に戻ると、
右の人差し指が正面をやんわりと示す。
「アレ、なんだ?」
えっ?
彼の指が示す方に、未波も視線を向けた。
そして、その先にあるのは、チェストの上に乗ったポトスの鉢。
「あの緑の鉢?」
うん。
彼女の視界の端で、彼が小さく頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!