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……
「ひろくん怒っちゃったね?」
「そうですね。でも……」
美月君が拳を握りしめる。
「怒ったまひろも可愛いなぁ~」
デレデレする美月君に向かって「そうだよね」と返す。
私達は「同士」だ。
初めてあった時に、すぐ分かった。ひろくんからは親友だと聞かされていたけど、彼のひろくんに向ける視線は明らかに親友のそれとは違っていたから。
問い詰めるとすぐに白状したので、私も自分の気持ちを正直に話した。
私はひろくんが大好き。弟に向ける気持ちとは違う想いがある。
美月君はひろくんに一目惚れしたらしいけど、私もそうなのかもしれない。ひろくんが生まれた時からずっと、ひろくんが好きだ。
ひろくんの妬いた顔が見たいう意見が一致して付き合ってるふりをしているのだけど、正解なのかもしれない。
さっきのひろくんは可愛かった。
怒った顔も、寂しそうにこちらを見つめる表情も最高に可愛い。きっと美月君も同じことを思っているはずだ。
美月君と、ひろくんの可愛さについて語るのはとても楽しい。でも、
「言っておくけど、美月君にひろくんは渡さないからね!」
これだけは譲れない。
ひろくんは私の大切な弟なのだ。
「望むところです」
「負けませんよ」と美月君が笑う。
私だって絶対に負けない。
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