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学校でも美月は上の空で、前のように馬鹿話をしようにも俺が一人で喋っているだけになった。休みの日に遊びに行こうと誘っても、デートの予定があるからと断られてしまう。
彼女ができたら俺のことなんてどうでもいいのかよ!
姉ちゃんだってちょっと前まではウザいくらい絡んできたのに、今は俺のことなんてどうでもいいように思えた。「美月君が、美月君が~」と美月の話しばかりしてくる。
彼氏ができたらこんなに変わっちまうのかよ!
「くそっ……」
モヤモヤする。
イライラする。
二人が幸せならいいと思っていたはずなのにどうしてだろう?
こういうのをきっと疎外感というのだ。
姉ちゃんも、美月も、別に俺を仲間外れにしているわけじゃないのに。
いつの間にか眠っていたらしい。
目を開けるとあたりが薄暗くなっていた。立ち上がって部屋の電気を点け、時計を見る。
もう八時前だ。美月はまだいるのだろうかと考えていると、扉の向こう側から本人の声が聞こえてきた。
ドアを開けると美月が笑顔で立っていて、その後ろに姉ちゃんの姿があった。
「まひろ、明日暇か?」
「三人で遊園地に行こうよ」
「……いい」
断ったのは二人の邪魔をしたくなかったからだ。
それともう一つ。
俺が、邪魔者にされるのが嫌だからだ。
「付き合ってる二人で行けばいいだろ。目の前でイチャイチャされるのはごめんだ!」
乱暴に扉を閉め、行動でも拒絶を示した。
これでいいのだと思う。
俺は姉ちゃんも、美月も、好きだ。
だがら邪魔はしない。
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