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国道沿いのファミレスには何度か訪れたことがあった。
店は煌煌と輝いていた。大窓から、光と一緒に店内の様子が洩れてきた。制服姿のウェイトレスがまつげを伏せたところだった。
駐車場の隅に人が集まっていた。街灯に照らされているというのにその人達の周囲は薄暗く感じる。
昨夜、シノブさんを送ってほしいと依頼してきた男がいた。相変わらず黒いジャージ姿で頭にバンダナを巻いている。おそらく彼がジンさんなのだろう。
彼も僕を見つけたようで目が合った。軽く会釈して駆け寄ると、無事彼女が帰宅したことを報告した。
「ありがとう」
礼を言われ、おもはゆくなった。
「帰り道でぼうやは泣いたかい?」
「いいえ、ずっと眠ってました」
「それはよかった!」
男が破顔した。
「それで、あの・・・・・・彼女はウラミチには来ないそうです」
できるだけサラリと伝えるよう心がけた。何らかの目的をもったグループからの退会をことづかったのだ。伝えれば、彼女の代わりになじられるかもしれない。
「三夜か。悪夢程度、だな」
いつの間にか、男の隣に老翁が立っていた。
「もう来ないと意思表示してもらえてよかった」
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