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夜が訪れた。
待ち合わせ場所に行くと皆集まっていた。ソマはエコバッグをさげていた。
「袋、手にいれたんですね」
話しかけると彼は袋を大きく開けてカップラーメンを見せてくれた。
ジンとあずき色ジャージの少女の後ろは三十代後半のモデルのような男だ。今朝とは違う服装だ。まるでスタイリストでもついていそうなほど洗練されている。彼の後ろはソマ。次が僕で、後ろがリクルートスーツの女性、須田、老翁という順番だ。順繰りに前に進み、ジャージ二人の後ろまで行くと最後尾にまわるようだ。
コンクリートの土手沿いの道を歩きだした。ビルと線路の間にある谷のような道だ。
土手は高架だ。時折電車が走ってゆく。天井ほどの高さの場所を電車が走るたび、タタンタタンと頭上の空気が震えた。
コンクリートの土手は排気ガスで染められたような色をしている。ふいに土手が途切れた。注意深く目を凝らさなければ気づかないが、大人が通れるほどの大きさのトンネルがぽっかり口を開けていた。
細い道がどこまでも続いている。その夜は静かな闇を歩いた。
「夜が明けました」
ジンの声と共に空が白んでゆく。
急な坂の頂にいた。
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