4人が本棚に入れています
本棚に追加
問いかけられると検索しなくてはならない気になってくる。調べたが近くに民家も商店はない。
「休める場所を探そう」
岩下が言った。
岩下と須田と共に坂を下った。坂の中腹まで来ると、岩下は棚田状の土地に足を踏み入れた。
青い三角屋根の平屋に、灰色のドア・腰高窓・腰高窓・灰色のドア・腰高窓・腰高窓と、規則正しくパーツが並んでいる。
「長屋・・・・・・いや、団地だな」
岩下が窓に顔を近づけた。窓ガラスをノックするが反応がない。次に彼は拳大の石を拾い、ためらいなく窓を割った。
突然のことに声が出なかった。
その間にも岩下は革手袋をはめ、ガラスが割れたところから手を入れ鍵を開けた。
「何やってんですかっ?!」
ようやく声が出た時には、岩下は窓枠に足をかけていた。
「大丈夫、空き家だ」
するりと侵入する。
「そういうことじゃなくて・・・・・・」
「いい子ちゃんだなぁ」
須田が窓に歩み寄り、室内をのぞき込んだ。
「廃屋のわりにキレイですね」
「棄てられてさほど時間がたっていないようだ。半日休むのにはちょうどいい」
「ですね」
「何言ってるんですか。見つかったら通報されますよ」
室内の岩下に言う。隣で須田が「チキン」と呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!