一日三食〇〇品目!

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 朝食を済ませた後、適当にネット世界を彷徨った。堕落した趣味と言う人が居るかも知れないが、買い物をするにしたってまだ早い。朝市なるものが存在するのは知っている。だが、それは同時に逞しいおばさま方の戦場と言うのも知っている。  特にやたらと安い野菜を売る朝市の熱気は凄まじい。まあ、並ぶには並ぶ。だが、それは開店して暫くの間のことだ。素早く美味しい野菜を見抜き、相手に嫌われることなど構わず売り場からかっさらう。それは、油揚げを攫うトンビの様でもあり、弱そうな相手から食べ物を奪う日光の猿の様でもある。  そう、あの勢いはちょっとしたサファリ。動物園で、檻で囲われて寝てばかりの獣とは違う。野生動物の如き素早さと迫力で、美味しい野菜と言う野菜は十分もせずにおばさま方の持つ籠に収まるのだ。  そうして、おばさま方が通った後には、大きさの割に身の無いスイカや、手作りの木彫りグッズしか残らないのである。木彫りグッズは食べ物では無いし、スイカは大きさが大きさだけに籠に入らない。そんなおばさま方に不人気なものが残されるのだ。  朝市でなくとも、早めに開く店は在る。だが、早めに行っても品出し中で通りにくい上に、通る度に「いらっしゃいませ」と言われるのもなんだか恥ずかしい。いや、マニュアルだろうけど、それでもなんだか恥ずかしい。
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