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目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。
建物の外観から役場の様だと推測するも、取り敢えず寒いし頭も痛い。
身に着けている物はスーツだけでコートが無い。
ヤバイ、仕事道具になる財布もパスケースもスマホもコートの中だ。
焦ってスーツのポケットを探る中、目の前の非常口が開き婚姻届けを手にした美女が。
「すいません、オレはどこですか」
いささか食い気味に問い掛けた為に妙な言葉を口走る主人公。
その言葉に主人公に記憶がないと都合良く解釈する役場の人々。
そこから始まる騙し合い。
しかし、詐欺師をやっていた主人公にして見ればこの村の人達は大根役者過ぎる。
あからさまに解る嘘。怪し過ぎる設定に、無理矢理こじつけられる後付けの理由。
けれど皆が皆、自分の演技に自信を持ち過ぎている為に、いつしか何処から何処までが本当なのか嘘なのか訳が解らなくなって行く状況。
村起こし、隠し財産、遺産相続に婿殿。
それぞれの思惑の為に、記憶の無い振りをする主人公は幾つもの役柄を押し付けられる。
やれ、都会に出て行った次男坊だの、隠し財産の場所を知る唯一の人だの、遺産を相続する権利のある遠い親戚だの、村一番の美女の婿殿だの。
記憶の無い事を理由に全てをうやむやに何とかやり過ごす主人公も、やがて皆の思惑に悪意がないと気付き、やたらと村の中で権力を誇って幅を利かせている芥川と対決をして行く。
遺産も、村一番の美女も隠し財産も手中に納め様とする人物に。
しかもコイツは主人公のコートを手に入れており、所持品の数々から彼が詐欺師と嗅ぎ付けている。
弱味を握られ陰で揺すられる主人公。それでも何とか自信満々の大根役者な村人を利用して全てを回避して行く日々。
果たして隠し財産は見付かるのか、相続はどうする、婿殿って?
おまけに村起こしと来た日にはどうすりゃいいんだ。
詐欺師のスキルを使って何とかしろ!
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