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少し先を歩いていた悠貴ちゃんが野菜売り場の値札を指差して私を呼ぶ。
そこには大玉の白菜が158円で売られていた。ひとつ持ち上げてみれば身が詰まってどっしりと重たく、葉も綺麗でしっかりしているし、ゴマ模様も出てない。
全体的に野菜の値段が上がっている今、これはとてもお買い得だわ。
「今日の鍋の具材のメイン決定だね」
悠貴ちゃんが 私の手から白菜を取り上げてかごの中へと入れる。それ結構重たいと思うんだけど。
「悠貴ちゃん。別に今入れなくても、重たいんだしお会計前に入れたら?」
他にも買うものあるんだし、わざわざ重たいの持って歩かなくても。
「ん?大丈夫大丈夫ー。それにこの子は真結に選ばれた子だからね、買ってあげないと」
なんて言いながらそのまま歩いていく悠貴ちゃん。…… たまたま手に取っただけなのに。その発想はどこから湧いてくるの?……まぁ、悪い気はしないけど。
二人で並んで歩きながら、他の具材を選んでいく。
「白菜メインだとやっぱりお肉かなぁ……でもお魚も悪くないかも……」
売り場を見ながら、ぶつぶつと呟く悠貴ちゃん。その言葉遣いが可愛くて堪らない。
彼女は基本頭に「お」を付けて話す。
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