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先程よりも心なしかぼーっとしてる様に見える。少し熱でも出てきたのかな。
うどんの入った器を悠貴ちゃんの前に置くと「熱いから気を付けて食べてね」と注意する。
「うん」と頷き、いただきますと手を合わせた後、ゆっくりと麺を持ち上げふぅー、ふぅー、と息を吹きかける仕草がとても可愛い。暫くそんな仕草を見つめていると悠貴ちゃんにちらっと見られた。
その目は「まだ食べないの?」とでも言ってる様だ。私もいただきますと手を合わせてうどんを食べ始めた。
「……おいし」
うどんをひとくち食べてそう言ってくれる悠貴ちゃんの顔がいつも以上にふにゃっとしてて、今すぐ抱き締めてあげたい衝動にかられる。
ひと口、もうひと口、とうどんを食べて悠貴ちゃんが半分呟く様にぽつりと言った。
「なんだか……懐かしい感じの味がする」
まあ、そりゃあそうでしょうね。
「だってうちのお母さん直伝の味だからね。プラス悠貴ちゃんへの愛情込み」
ちょっとふざけた様に言うと
「それは、美味しくない訳ないね」
なんて可笑しそうに言うから、ちょっと嬉しくてニヤける顔を隠すようにうどんのつゆを飲む。
「今度レシピ教えてよ」
「どうしよっかなー」
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