いい服の日

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凛ちゃんからスーツとか貰うの初めてなんだけど……。 「臨時ボーナスでも入ったの?」 思わずそんなことを聞いてしまう。 「え?いや、ほんと気まぐれだから」 なんて笑う凛ちゃん。 「スーツって何着あっても困らないでしょ?」 確かに困りはしない……むしろありがたい。うーん…… 「じゃあ、ありがたく貰っておきます」 「はい、どーぞ」 ほんわかした空気が流れる中、ガーメントバッグからスーツを取り出す。 「…………」 デザインはとてもシンプルだけど、ぱっと見ただけでも中々の品だとわかる。 生地もとてもしっかりしているけど軽くて……これ、高かったんじゃないの? 言葉が出なくて、顔だけで凛ちゃんに訴えるけど、本人は惚けた感じで 「気に入らなかった?」 なんて言うもんだから、首をブンブンと振ってその言葉を否定する。 気に入らないなんて……むしろめっちゃ好みなんだけど。 値段がどうとか、なんで急にスーツなんて買ってくれたんだろうとか、色々思うとこもあるけど、凛ちゃんがこんなに私の好みにピッタリのスーツ選んでくれたのがなんだかすごく嬉しくて。 「着てみる?」     
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