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土曜日。今日も店のオープン作業に忙しい時間……さっきからなんだか妙な視線を感じる気がするんだけど。
取り敢えず店先の掃き掃除を終え、水を撒こうかと水道に向かうと、チラッと人影が見えた。
その人影が誰か大体想像はつくのだけど、電柱の影に隠れてるその人へ向かって話しかける。
「何してんの……燈子さん」
バレていると知った彼女はひょこっと姿を見せると「バレちゃっか」とか言いながらこちらへやって来る。
「バレバレだから」
ため息混じりにそう言うと
「久しぶりに会いに来た母親にそんな態度でいいのぉ?燈子悲しい」
わざとらしい台詞に「はいはい」と軽くあしらう。
そう、この人は私の母親……名前で呼んでいるのは本人が「お母さん」と呼ばれるのを嫌がるからだ。
「凛ちゃん、中は用意出来た……って燈子さん!?」
中から夏穂が姿を現すと娘そっちのけで夏穂に突進、速攻で抱き着いてる。
「夏穂ちゃんお久しぶりね~。暫く会えなくて寂しかったわ」
語尾にハートマークが付きそうなくらいの猫なで声。
「私もです。お元気でしたか?」
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