カメラの日

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そんな突進にものともせず笑顔で抱き締め返す私の恋人。まぁ、母親と恋人が仲が良いのは喜ばしいこと。特に私たちみたいな『同性』の恋人同士の場合はかなり稀なんじゃないだろうか。 うちの母は私が同性愛者だと告白した時も「やっぱりね、そんな気はしてたわ」とすんなり受け入れ、夏穂を初めて紹介した時も「凛ちゃんには勿体ないくらいの可愛い子ねぇ」と初っ端から抱き着いて夏穂はタジタジだった。 普段から感情表現の激しい母は、兄が初めて彼女を家族に紹介しに来た時も彼女に抱き着いていたのを覚えている。 流石に相手が姉の彼氏の時は、抱き着きこそしなかったものの、かなり近い距離であれやこれやと聞き倒し、手を握って娘の事お願いね~なんて言っていたっけ。 そんなこんなで、上二人は普通に結婚してくれたし、可愛い孫も産まれた。 あんた一人が人とちょっと違う相手を選んだからって、お互いに好きあってるのだから幸せなことに変わりはないし、私はこんなに可愛い娘が増えて嬉しいばかりよ。と私達に言ってくれた。 それにしても、だ。 実の娘に対する態度とあまりにも変わり過ぎじゃないのかと思うほど、母は夏穂がお気に入りだ。 たまにやって来ては私そっちのけで夏穂にひっつき、オススメの化粧品だのなんだとの押し付けて帰っていく。     
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