2人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
すとんと椅子に座った。アフロ女がふわりと首回りにケープをかけてくれる。アフロ男が私の後ろに回り込み、さりっと毛先を揃えるようにカットした。ものの数秒。
それからアフロ男女は私を両側から挟み、頭にキラキラ光る液体をかけ始めた。
「馴染んで馴染んで!」
「馴染んで馴染んで!」
「巻いて巻いて!」
「巻いて巻いて!」
「1液2液2液! あっためて!」
「1液2液2液! あっためて!」
「にんたーい!」
「にんたーい!」
もしやアフロパーマの工程説明か。知らず、私も復唱していた。「にんた~い」。
液体をかけた後、頭部を覆うカプセルみたいなものを被せられた。カプセルそのものがもこもこした形をしている。
カプセルの内側がカーッとした熱をはらみ、私の頭を中心にくるくる回る。だんだん、自分が回っているのかカプセルが回っているのか分からなくなってきた。
熱さにヘトヘトになる頃、カプセルが外された。私の毛髪を調べていたアフロ男が「よし」と頷く。
とたん、両脇に立っていたアフロ男女の背中から細い手が複数飛び出してきた。ぎょええっ! 私は驚くが、もう身体は椅子と一体化しており動けない。
わさわさわさわさ蠢く大量の手は、どれもパーマ用のロットを握っていた。それを私の髪に次々巻き始める。鏡を見ながら、私は唖然とした。超人的な速さでロットが装着されていく。二体の千手観音にロットを巻かれているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!