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白い光が目を射抜いた。
気付くと、地元ホテルの大宴会場の中に立っていた。宴もたけなわという雰囲気で、会場真ん中にある立食テーブルを中心に、大勢の人が行き交っている。かなりの盛況のようだった。
行きすぎる人が、私の姿を見てぽかんとする。目はまん丸く見開かれ、一様に困ったようなはにかんだ表情をした。ふと自分を見下ろして、私はあっと叫びかけた。
恰好が変わっている。黒シャツに赤パンタロン。しゃらしゃらのブレスレットに編み上げブーツ。
ブーツのヒールのせいか、いつもよりずい分と目線が高い。それだけで気分が違う。半ば見下ろすような気持ちで、会場内をうろうろとした。阿以君の姿を探す。
「おっ、荻野目さんっ?」
後ろから声をかけられた。見ると、三人の女性が立っていた。それぞれ、胸に名札を付けている。「小林」「長谷川」「岩田」。同じクラスだった女性たちだ。
三人は私をしげしげと見つめると、なんとも不思議な顔をした。笑顔ではあるのだが、砂糖と塩を間違えたまんじゅうみたいな顔。
「もしかして今来たの? もう前半終わっちゃったんだよ」
「あ。そうなんだ……」
「川越先生のスピーチ面白かったんだよ~。ねえ!」
そう言って三人は顔を見合わせ、笑い合った。そういえば、高校時代もこの三人はいつもくっ付いていたっけな。
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