アフロ☆美容室

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 演奏後、私は同窓生たちにいっせいに周囲を取り巻かれた。 「どうしてアフロにしたの?」 「可愛い! アフロいいな」 「すっごい素敵だった、アフロ楽しそう!」 「アフロいいな、アフロ!」  仕事は? 結婚は? 誰にも訊かれなかった。  なぜアフロなの。  どこでアフロなの。  アフロってなんなの。  私ってなんなの。  あー答えられない。それが答えだった。  だけど、明日には明日のアフロがある。明日には明日の私がいる 「荻野目さん」  声をかけられた。阿以君が火照りの残る顔つきで歩み寄ってくる。 「ありがと。渡辺も喜んでた。盛り上がったって。あいつ、俺にはエアかよ! て散々渋ってたからさ。実物を弾け! て」  そう言うと阿以君は頭をかいた。えへへ、とまたちょっと乾いた笑顔を見せる。 「なんも成してないって思ったからさ。俺、何ものにも成ってないなーって」 「……」 「十五年かーって。ヤッベーなって。きっと今日も明日も明後日もずっと思ってると思う。苦しいし、うんざりする」 「すべての道は自分に通じるよ。阿以君」  はた、と阿以君が私を見た。
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