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「阿以君のエア・ギターがカッコいいから、私もアフロになった。世界大会、頑張ってね」
きゅ、と阿以君が唇を噛んだ。「荻野目さん」とまた頭をかく。
「その……古和毬丘の近くに住んでんの?」
「うん。あの近所」
「よかったら……その、また、その」
「え? ……あっ」
突然叫んだ私を、ぎょっと阿以君が見た。
頭がもこもこと蠢き出したことを感じたのだ。アフロが解ける。アフロ男の言葉を思い出した私は、あわてて彼のそばから離れた。
「荻野目さん?」
「あ、阿以君、またねっ」
「え、ええっ、ちょっと」
走り出した時、かち、と小さい音がした。それがアフロの中から転がり落ちた一個のパーマロットだと、この時の私は気付かずにいた。
そしてそれを、阿以君が拾い上げたことも。
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