アフロ☆美容室

25/27

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「阿以君のエア・ギターがカッコいいから、私もアフロになった。世界大会、頑張ってね」  きゅ、と阿以君が唇を噛んだ。「荻野目さん」とまた頭をかく。 「その……古和毬丘の近くに住んでんの?」 「うん。あの近所」 「よかったら……その、また、その」 「え? ……あっ」  突然叫んだ私を、ぎょっと阿以君が見た。  頭がもこもこと蠢き出したことを感じたのだ。アフロが解ける。アフロ男の言葉を思い出した私は、あわてて彼のそばから離れた。 「荻野目さん?」 「あ、阿以君、またねっ」 「え、ええっ、ちょっと」  走り出した時、かち、と小さい音がした。それがアフロの中から転がり落ちた一個のパーマロットだと、この時の私は気付かずにいた。  そしてそれを、阿以君が拾い上げたことも。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加