アフロ☆美容室

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 実家の母親から電話がかかってきたのは三か月前のことだった。  母は近所の丸金さんの犬が出産しただの同居している祖母の入れ歯を超高級セラミック製にしようか悩んでいるだの散々話してから、ぽろりと言った。 「そうだ。同窓会のお知らせ来てたわよ」 「はぁ。同窓会」 「毎年来るやつ。今年はあんたの学年が幹事みたいね。アパートに送っといた。明日には届くんじゃない?」 「うん。ありがと」 「早いわねえ。あんたも高校卒業して十五年経つのねえ」  十五年。その言葉に、はたと立ちすくむ。  十五年。そりゃそうだ。私は今年三十三歳。大学を卒業して現在のOA機器販売会社に事務員として勤め始めて十一年。  じゅうなんねん。言葉ヅラだけなら、途方もなく長い時間に思える。が、実際過ぎ去ってしまうと、これら時間はもろい砂の城に過ぎなかった。何一つ、形を成していない。  ふと、くたくたトイと呼んでいたおもちゃを思い出した。台座の底部を指で押すと、上に乗っている人形がくたっと崩れ落ちる素朴なオモチャ。指を放すと、またしゃんと立ち上がる。けれどその足の裏は、ずっとずっと台座にくっ付いたままなのだ。  じたばたくたくた。けれど、どこへも行けない。変わらない。
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